無敵マンのニート日記

臆病な性格をした無職。自由主義者。 Twitter→@mutekiman_xxx

自由主義者の臆病な性格をした無職が、人生の一コマを書き連ねております。Twitter→@mutekiman_xxx

俺が中学生だった頃の話。

家庭科、りんご向きの授業。「エプロンを忘れたら外で見学させる」と前の授業でシツコく先生が忠告していたにも関わらず、当日俺はエプロンを忘れてしまった。しかも、忘れたのは俺1人だけ。当然外で見学することになった。自分1人だけ廊下でポツンと椅子に座って窓から見学。皆はワイワイ楽しそうにりんご向き。剥いたりんごを食べたりして楽しそうだ。なんで俺エプロン忘れたんだろう。だんだん自分の情けなさと、1人だけこうして仲間外れにされている状況に胸が苦しくなって、途中から皆の方を見るのをやめてソッポを向き、頬杖を付いてムスッとしていた。授業が終わって皆が片付けをしだしたタイミングで、先生が俺のところへやってきて「こっち来なさい」と教室の奥の、先生の部屋みたいなところに連れていかれた。なんやねんババア皆から見えない所で説教する気かよと思いながら付いて行くと「これ食べり、おいしいで」と、先生が剥いたリンゴが盛り付けてある皿を俺の方に差し出してきた。あまりに予想外の出来事に戸惑って、ここでリンゴを食べたら、何だか自分がすごくカッコ悪い気がしたので、本当はリンゴが大好きなんだけど、「俺リンゴ嫌いなんで、いいです」と断った。それでも先生は、「いいから、いいから1つ食べてみ、甘くて美味しいで」と今度はリンゴに爪楊枝を刺して、それを俺の手元に差し出してきた。それを手に取り、申し訳なさそうにリンゴを一口かじると、すごく甘くておいしくて、涙がボロボロこぼれてきた。


当時の僕はクラスに友達が1人もおらず、誰からも気にかけてもらえる事の無い人間だった。こんなどうしようもない自分を家庭科の先生は気にかけてくれた。それがどうにも嬉しかったのだ。

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