異常者として生きてゆく覚悟。
自分は心のどこかで常に、普通の人間にはなりたくないという思いがある。
小学校くらいの時は周りの皆に合わせなきゃという思いが強く、自分の服装や持ち物、何から何まで、皆から見ておかしくないか?を常に気にしていた。
中学校に入ってからはだんだん異人になりたいという思いが強くなった。
なりたいというより、なるしかなかった、という表現の方が正しいのかもしれない。
正直言うと、自分は幼稚園時代から周りの皆とは何かが違うなという思いがあった。
印象的なのは幼稚園の運動会。
音楽に合わせて皆で簡単なダンスを踊るというものがあったんだけど、自分はそれが恥ずかしくて出来なかった。なんでこんなバカみたいな動きを楽しそうにやらなきゃならないんだ的な事を思ってたんだと思う。
周りを見ると、俺以外の全員が皆、満面の笑みで楽しそうに踊ってる。
親や先生には、恥ずかしがらずにもっと元気よく踊ろう!と言われた。
この時から俺は、皆と同じようにしていなければ注意されるんだということを知った。
でも、恥ずかしくて踊れないのは本心なので、口で注意された所で何も変わることはなく、結局、皆から見て楽しそうに見える見せかけのダンスを必死で踊りまくった結果、俺はとうとう疲れ果てた。
もう別に皆に嫌われてもいいや…と、何もかも吹っ切れてしまった記憶がある。それはちょうど中学校に入ってからだった。
自分の本心がそうしたくない事を、わざわざ無理に皆に合わせてまでやる必要はない。
でも学校というのは、集団行動の大切さを叩き込む所なので、中学の先生からも結構注意された。
心にバリアを張ってるので、それを取り除き、皆ともっと打ち解けてみましょう。楽しいときは笑い、嬉しいときは嬉しさを表現しましょう。
通信簿に書かれる担任のコメントは毎回同じだった。
本心を言わせてもらうと、話したくないから周りと距離を置いていて、楽しくないから笑ってなくて、たいして嬉しくないから無表情なのだ。
でも、このように真の自分を解放してしまうと、残念ながら周りの親や先生たちには心配されてしまう。
それがすごい嫌だった。
とにかく親にだけは心配させたくないと思い、俺は高校に入ると心機一転して、友達を沢山つくって親を喜ばせてやりたいと思った。
今思えばそれが失敗のはじまりだったのかなと思う。
本心では友達なんていらねぇと思いながら、親のために偽りの自分を作る。
しかし、偽りでいることに疲れて本心が丸見えになると、結局皆から遠ざかって1人になる。
誰からも必要とされてない自分がすごいミジメになってきて、勉強もやる気が起こらず留年、学校も嫌になって辞めてしまった。
結局、親も悲しませ、自分は本当にダメな奴だと思った。
こういった過去から何を学んだのかというと、本心で無い事をすると何もかもダメになるってことだ。
しかし、だからといって逆に本心のままでいても結局、社会では通用しない。
本心が周りの皆と違う作りになってるという事自体が全てのダメな原因だ。
今現在は、本心で生きること、異常者として生きていく事を決意したものの、これからどうやって生きていけば良いのか、道筋が見えないままでいる。
大多数の人間が正常だとするならば、正常の人間が多くいる場所で異常者に需要はない。
正常な人間を雇いたいという以前に、そもそも人が集まらないという、誰でもカモンなブラック労働くらいしか俺に需要はないのかと思うと、それを受け入れたくない自分がいて、未だに働く覚悟が出来ずにいる。
絵を描いたり、文を書いたり、何かを作ったりして生計を立てられれば、それが1番いいんだけど、それが出来る自信も無い。
正常な人間には色々な選択肢があるのに、異常な人間には少しの選択肢しかない。
正常な人間が、俺の気持ちを理解することは無いだろう。
何もかもから逃げ出したい気分だが、いつまでもこうしているわけにもいかない。
誰かから理解してもらえるという希望をキッパリと捨て、いつまでも変わることのない異常な自分に胸を張って生きていく。
その覚悟はありますか?
正常への諦めと異常への覚悟。
今のあなたに必要なのは、それだけです。