芸術は麻薬なので取り締まるべき。
少し前まで僕は芸術家になりたいと思っていた。画家や彫刻家になりたいと思っていた。
なぜかというと、画家や彫刻家という職業は完全に一人で出来るし、それなりに美しいものを作れば必ず需要は存在し、それで生計を立てることは可能だと考えたからだ。
しかし最近になって、美しいモノにだんだん魅力を感じなくなってきている自分がいる。
美しいモノを見ると癒されたり、良い気分になることは間違いない。
だけども、それは一時的なものでしかなく、仮に1日中見ていたからといって幸せな気分が続くかというと、そうはならないのだ。
美しいモノはいずれ飽きる。
そして、一時的な快楽から本質的に得るものなど、結局のところ何も無いことに気付く。
そのような結論に至ってしまった瞬間、僕の芸術に対する価値観が180度変わってしまった。
なんてクダラナイものなんだ。
絵画、彫刻、音楽、演劇、、全てがとてつもなくクダラナイものに見えてくる。
最近は映画もまともに楽しめなくなってきてしまった。
芸術というものの全ては非現実的であり、非現実的なものは、人々の理想を錯覚によって叶えるものである。
多くの人々が芸術に惹かれる理由は何なのかというと、彼らが常に理想を追い求めているからに他ならない。
現実社会では思い通りにならないから、人々は理想を見たくて見たくてしょうがないのだ。
そして理想はしばしば妄想を引き起こす。
考えても仕方がないことを永遠と考える。
こういった生き方は苦しみしか生まない。
理想や妄想なんかを見つめて生きるのではなく現実を見て生きなければ、我々人間は前に進めない。
短期的な快楽で人々を釣って、長期的には人々を理想や妄想に夢中にさせ人生を台無しにさせる。
それってまるで麻薬みたいだ。
もしそれが芸術なのだとすると、やはり僕は芸術を積極的に好きになることは今後ないだろう。