つまらん世界だな。
この世界に少しでも楽しみの希望が存在するのなら、私は耳糞をかっぽじって世界の音に耳を傾けよう。
ところがどうだ。
耳を傾ければ傾ける程、何にも無い。
楽しみのたの字も無い。
私は期待をして、よく耳を凝らして聴いているのに、世界の音はこれっぽっちも私を楽しませない。
癪に触る!!あぁ!期待外れもいいとこだ!!
私はすぐさま耳にイヤホンを挿し込み、大音量でヘビメタを流す。
目を閉じ、首を激しく上下、左右に振り回す。
これでわたしは、日常、常識、法律、モラルなどといった現実世界に蔓延る客観性をぜんぶ忘れ去り、主観的快楽を主導とする自己完結世界の王者に成れるのだ。
ハハハ!なんて楽しい世界だろう!!
音楽が止み、目を開けると、世界に蔓延る客観性が急に私を嘲笑う。
ハハハ。なんてバカな奴だろう!
キチガイと、そのキチガイを嘲笑う者。
これはどっちにしたって楽しいものなのだ。
問題なのは、この世界にキチガイが存在しないということである。
だから、わたしはキチガイを演じる役を自ら買って出ようと思ったのだ。
世界はソイツを見て笑うことだろう。
しかし、キチガイを演じるソイツは、もっと笑っている!!
後でわたしも世界と一緒になってソイツを笑い飛ばす。
ハハハハハハ!!!