地下シェルター。
天井にある扉を少し開けると、外ではけたたましい音を立てて砂嵐が吹き荒れている。
「この天候じゃ今日も無理だ」俺はそうつぶやき、そっと扉を閉める。
「そこどけよ。後ろがつかえてる。」
私のすぐ後ろにいた、見るからに頭の悪そうな若者がたくましい声でそう言った。
(何様のつもりだこのクズ野郎…)そんなことを思いながら私はおずおずと、天井扉に続く、若者の行列を横目に階段を降りていった。
私が階段を降り終える間もなく、先ほど声をかけてきた頭の悪そうな若者は地下シェルターから姿を消していた。
その後も、次から次へと、多くの若者たちが砂嵐の吹き荒れる危険な外の世界へ足を踏み出して行く。
砂埃の来ない安全な場所へと戻り、腰を下ろした私はいつものように「外の世界について」の書籍を開いた。
「あいつらは只のバカだ。なんの知識もなく、あんな危険な砂嵐の中に入っていくなんて。いくら何でも無謀すぎる。第一、砂嵐の先には何があるのかもわからないのに…」
勝ち誇ったように独り言をつぶやいた。
本を読んでいるうちに眠くなり、今日もまた長い眠りの中へと逃げ込んでいった。